2022年 

第55回   日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍学術集会

 

>特別講演

メインテーマ 整形外科医が腫瘍をみるということ ー骨・軟部腫瘍医が果たすべき役割ー

「がん」の根治を目的とした診療技術の進歩によって 肉腫の治療成績は着実に向上し 骨・軟部腫瘍医はその発展に大きく貢献してきた。しかし今治療の目的をQOLの維持に置くという発想の転換がもとめられている。がん患者にはがん自体によるもの(原発や骨転移)、がんの治療によるもの(たとえば手術、放射線)、元々運動器疾患によるものなど多くの運動器障害が生じている。

がん患者のADL制限ががんではなく 運動器障害によることも多く 誤ったPSの判定によってがん治療が制限されることも少なくない。がん患者における運動器障害への取り組みをさらに発展させていくためには 腫瘍と運動器診療の両方の専門家である骨・軟部腫瘍医こそがその架け橋の役目を果たすことができるのではないか。他診療科ではがん患者に特有の循環器障害に取り組む「腫瘍循環器学会」の設立、同様な「腫瘍腎臓病学」の確立 などがみられるように 「腫瘍整形外科学 Onco-Orthpaedics」という領域も必要。               帝京大整形 河野先生講演より

 

希少がんである小児がん、骨・軟部腫瘍 は新規発生患者数が限られており 病院の集約化と均てん化のバランスについていつも課題になっています。

どうすれば患者の負担すくなく等しいレベルの医療を提供できるのか、経験値を有した医師をどのように育てていくのか、このようなマイナーな分野に進んでくれる医師をどのように発掘していくのか、 診療、研究、教育と同じだけこれらの課題に注力しておられる先生方の熱い姿に触れる毎回の学術集会です。

 


2021年

第5回日本サルコーマ治療研究会学術集会 Meet the expert programより

 このプログラムの趣旨(抄録集より抜粋):医療者と医療を受ける方々が共に歩むというJSTARの理念に基づいて、肉腫のエキスパートに直接質問できるセッションを設けました。~中略~ 肉腫全般に関して、日頃から知りたいと思っておられることに関して、気軽にお聞き頂ければと思います。 2日目 Expert 下井 辰徳先生---国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 医長

 娘が罹患した2001年頃にはなかった「腫瘍内科」というジャンルについてお聞きしました。

 がんの治療は外科手術、薬物療法、放射線治療、最近は免疫治療という概念も加わり4本柱とされて

 います。腫瘍内科医とは質の高いがん薬物療法を実現するために、幅広い臓器のがん薬物療法の知

 識と技術を持った専門医です。小児科の場合は腫瘍小児科医が薬物療法を扱います。骨軟部腫瘍は

 その希少性から外科治療に携わる整形外科医が併せて薬物療法も担当することが中心でした。 

 骨軟部腫瘍を専門とされる整形外科医は全国で250名程度。国内整形外科医が25000名でそのわずか

 1%ということです。がん薬物療法専門医として腫瘍内科専門医が標準化されチーム医療を行えば

 さらなる質の高い治療へと進んでいくと思います。現在その総数は1500名程度に留まっています。

 今後ますます腫瘍内科医が増えてくださることを期待したいと思いました。

 


2014年

日本臨床腫瘍学会

会長シンポジウムーー日本臨床腫瘍学会/日本癌学会/日本血液学会 合同シンポジウムーー

             テーマ:小児がんサバイバーシップ  

                     日時:718日(金)15:5017:50  

             司会 : 石井榮一 、田村和夫  

  1)  小児がん経験者の長期ケア:小児科医の立場から

                      石田 也寸志  (愛媛県立中央病院小児医療センター)  

  2)  小児がん経験者の長期フォローアップ: 合併症スクリーニングおける小児科と家庭医連携の課題

              高橋 都 (国立がん研究センターがん対策情報センター)

  3)  長期フォローアップ 手帳・治療サマリー

                       大園 秀一 (日本小児血液・がん学会/久留米大学医学部 小児科学教室)

  4)  小児がん経験者のPTSS―心理的問題

              上別府 圭子   (日本小児血液・がん学会/東京大学大学院医学系健康科学 看護学専攻)

  

 7月17日~19日の3日にわたり福岡にて開催されました。今回以下の会長シンポジウムが組まれました。成人領域の学会で初めて小児がんにスポットがあてられた瞬間です。

小児がんサバイバーが小児科から成人診療科へのシームレスな移行を実現するために腫瘍内科医ができること・・・を考えるきっかけとして と 大きな一歩を踏み出していただいたように思います。