2021年

第5回日本サルコーマ治療研究会学術集会 Meet the expert programより

 このプログラムの趣旨(抄録集より抜粋):医療者と医療を受ける方々が共に歩むというJSTARの理念に基づいて、肉腫のエキスパートに直接質問できるセッションを設けました。~中略~ 肉腫全般に関して、日頃から知りたいと思っておられることに関して、気軽にお聞き頂ければと思います。

 1日目 Expert 遠藤 誠先生---九州大学 整形外科学講師 JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の

 骨軟部腫瘍グループのメンバーとしてJCOG新規試験立案などにあたる---

 予定の1時間をはるかに超えいろいろなお話を聞かせていただきました。その中で目からウロコだっ 

 たお話を紹介します。それはある治験のお話でした。

 ドキソルビシンという薬剤による心毒性の軽減目的で昔からある薬剤を併用できるようにしたい(薬は発売の際に適用が決まっていますのでそれを勝手に拡大使用できないのです)という試験

 でした。企業治験、医師主導臨床研究として新しい薬剤の開発、適用拡大を取得する為の臨床研  

 究、既存薬剤の組み合わせを工夫する研究などが行われていることは認識していましたが、

 昔からそして今もなおキードラッグであるドキソルビシンの副作用発現を最小化するため という

 視点の臨床研究がなされていることに大変感銘をうけました。

 この領域で使える薬剤の数は他のがん種に比して極端に少ないのです。少しでも使える薬が増える  

 ことも大変喜ばしいことですが、晩期合併症などの誘因となるキードラッグの副作用が最小化され

 ればサバイバー達にとって一筋の光だと思いました。

 



2018年

第2回日本サルコーマ治療研究学会学術集会より

特別企画 肉腫update 大分大 田仲和宏先生 より抜粋

 骨肉腫に対しては長らく新規薬剤の登場がなかったが、昨年ようやく有望な新規治療の報告がなされた。FrenchSarcomaGroup(FSG)とNCIによる進行骨肉腫・ユーイング肉腫に対するCarbozantinibの第Ⅱ相試験、

SARCの骨肉腫進行例に対するRegorafenib の第Ⅱ相試験REGOBONEの結果が相次いで発表された。今後の第Ⅲ相への発展が期待される。

軟部肉腫については 進行例に対するTrabectedin のBSC との第Ⅲ相試験T-SARの結果が発表された。Olaratumabの第Ⅲ相試験の結果が待たれるところである


2015年

48回日本整形外科学会・骨軟部腫瘍学術集会 

中山富貴先生寄稿

分子標的治療について 

・骨巨細胞腫に対する抗RANKL抗体薬(デノスマブ)を使った治療について検討されました。脊椎発生例や再発例など手術困難な患者に対して有効な治療であることが明らかになってきており、術前に使用して腫瘍を縮小してから手術することも可能との発表がありました。

・軟部肉腫に対するチロシンキナーゼ阻害薬(パゾパニブ)の治療効果と有害事象について検討されました。パゾパニブは軟部肉腫に対する初めての分子標的治療薬であり現時点では主に他薬剤での治療が無効だった場合に使用されています。日本肉腫治療研究会による多施設共同研究では有効例がある一方で、比較的重い副作用を31%にみとめ使用量、副作用対策についての今後の課題がが求められる結果でした。