骨軟部腫瘍とは

  骨に発生する腫瘍、軟部組織(筋肉、皮下脂肪、血管など)に発生する腫瘍をまとめて骨軟部腫瘍といいます。

 良性腫瘍も多く発生しますが、まれに悪性腫瘍が発生することがあります。悪性の場合「肉腫」というタイプの悪性腫瘍であることが多いです。肉腫は非上皮性(骨や軟部組織など体の内部)の悪性腫瘍の総称で、肺や胃腸などに発生する上皮性(体や粘膜などの表面)の悪性腫瘍の総称である「癌腫」に対応している言葉です。

 いくつかの肉腫は小児や思春期の年齢に高頻度に発生するため「小児がん」と総称されます。

 

病気の種類

 小児の骨に発生しやすい良性腫瘍としては、単純性骨嚢腫、骨軟骨腫、非骨化性線維腫、内軟骨腫、軟骨芽細胞腫、線維性異形成症など多くの種類があり、悪性腫瘍としては骨肉腫やユーイング肉腫があります。

軟部に発生する良性腫瘍としては血管腫、脂肪芽細胞腫などがあり悪性腫瘍としては横紋筋肉腫、ユーイング肉腫(ファミリー腫瘍)、乳児型線維肉腫などがあります。

 

症状

 からだのどんな場所にもできます。しこり(こぶのような腫れ)や痛みで気がつかれます。時には熱がでることもあります。打撲などの外傷がないのにどこかが腫れてきて、徐々に大きくなる場合は要注意です。

 

診断のながれ

こどもが痛がったり、腫れてきたり、発赤してきたり などで 保護者が気づかれることから始まります。その箇所によって 近くの 整形外科、小児科、皮膚科 などへ受診となります。

この時点で専門医にめぐり逢うことはまれだと思います。専門医でない医師がただのコブ、腫れ と判断し切除しようとすることはとても危険です。しっかり検査を行ってもらえるかを確認してください。

診察、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査、シンチ検査、などを組み合わせて 腫瘍があるかないか、良性か悪性かを調べます。これらの検査で良性腫瘍と診断されればそのまま様子をみる(経過観察)場合もありますし手術をする場合もあります。

  悪性腫瘍が疑われた場合は、さらに検査をすすめ治療が計画されることになります。この時点で、小児がん拠点病院、こども病院、大学病院、がんセンターなど治療経験のある施設に紹介されることが多いです。

  悪性腫瘍の確定診断のためには病理組織検査が必要であり、これらの施設では組織をとるための小さい手術が行われることがあります。これを生検といいます。また病期診断(転移の有無などの病気の進行度の診断)のためにCT検査やシンチグラフィー検査が行われます。病気のタイプ、悪性度、病期(ステージ)の診断の上で治療が開始されます。

 確定診断のためには病理組織診断が必要ですが、骨軟部悪性腫瘍や肉腫は発生頻度が少ないため、診断が難しく、経験豊富な病理医でないと診断ができないことがあり、施設や医師の間で診断が違ってしまうケースも発生します。このような理由で悪性腫瘍が疑われた場合はその時点で上記のような施設での診断や治療を受けることがのぞましく 診断や治療法について十分に納得できない場合は、他の施設で意見を聞いてみる(セカンドオピニオン)こともできますので担当医に相談してみてください。

 確定診断について以下参考図書(といってもまずは医科大などの図書室で閲覧することをお勧めします。)「骨腫瘍の病理」石田 剛 著,2012315日発行

 骨腫瘍および腫瘍様病変の鑑別診断関係図(”骨腫瘍曼荼羅”)P.18など この分野の診断の難しさが垣間見られます。